知っていましたか。綾川町に、農薬も化学肥料も使わずに米を作り続けている人がいることを

綾川町畑田で始まっている、無農薬な米作り

綾川町と高松市との境目、国道32号線から少し南にはいった畑田地区に、長尾さんの田んぼはあります。

 

 

  

国道から近い場所とは思えないほど静かで、のどかな田園風景。

長尾さん無農薬栽培米「あきあさかり」|綾川町畑田

 

そこは、東西を小高い丘に挟まれた、恐らく本津川によって長い年月をかけて削られたであろう谷間の地。少し上流の池から水を引いているこの場所について、「水に困った記憶はないんですよねぇ」と長尾さんが話すこの地から、お話は始まります。

 

この記事では、長尾さんがどのようは方法で、無農薬米を栽培しているのか、実際に聞き取りを行った内容を基に、その概要をお伝えします。

 

お米の無農薬栽培。それは、決して特別な人が特別な方法でやっているわけではない。身近なところで、地道に、取り組んでいる方がいるーそんな風に感じてもらえると、嬉しいです。

 

無農薬米への原動力はシンプルな想いからでした

川西さんのご紹介で長尾さんに初めてお会いしたのは、昨年(2025年)の夏のことです。

長尾さん無農薬栽培米「あきあさかり」|綾川町畑田

小柄な体格で、物腰はやわらか。ゆったりとしたイントネーションが、まさに「ザ讃岐弁」という感じで、不思議と聴いているこちらの肩の力が抜けていくよう。

  


自分達が口にするものだから、どうせなら農薬は少ない方がいいですよね。
それに、楽しいんですよ。農薬を使わずに、どうすればよりく作れるのか。毎年重ねる試行錯誤が楽しいんです。

 

  

無農薬米の栽培にかける、長尾さんの想いと原動力は、思想的なものではなくて、とてもシンプルで、だからこそ力強いものでした。

  

化学肥料を使わない土づくり —カギを握るのは「レンゲ」

学肥料に頼らずに土壌の栄養を保つには、自然の力を借りるしかありません。

長尾さん無農薬栽培米「あきあさかり」|綾川町畑田

 

長尾さんはかつて、冬場に田んぼへ水をためておく「冬水田んぼ」という手法で、土中の窒素が空気中へ逃げるのを防いでいました。しかし長年続けるうちに、春先に浮き草が大量発生するという問題が出てきたと言います。

 

そこで現在は方法を変え、稲刈りの頃に「ヘアリーベッチ」という背丈の高い外来種のレンゲの種を蒔くようにしています。このレンゲの根が空気中の窒素を固定する「窒素固定」の働きをすることで、翌年の田んぼに立派な肥料をもたらしてくれるのです。

   

除草剤を使わない草との戦い—カギを握るのは「深水」

無農薬栽培において最も苦労するのが、除草です。

 

特にヒエなどの雑草が生えると稲の栄養が奪われ、収量に直結します。長尾さんの対策の一つが「深水(ふかみず)」。夏場はできるだけ深く水をためておくことで、雑草が育つのを抑えます。

 

長尾さん無農薬栽培米「あきあさかり」|綾川町畑田

ただし、水をためっぱなしにすると土が柔らかいままになり、稲が倒れやすくなる問題も出てきます。そのため現在は、ある程度の時期に一度水を抜いて土を締める「中干し」を取り入れ、稲の根をしっかりと固定させています。

 

それでも生えてくる草は、もう手で抜くしかない。夏の間、長尾さんは毎週末田んぼに入り、地道な草抜きを続けているそうです。

     

農薬を使わない苗づくり—カビが生えたらお天道様

長尾さん無農薬栽培米「あきあさかり」|綾川町畑田

一般的に、種籾を発芽させるため行われる水浸け工程では、カビを防ぐための種子消毒(農薬)が使われます。が、当然ながら長尾さんは、それも使いません。

  

農薬をしていない状態で苗箱を管理すれば、カビが生えやすくなるそうです。では、カビを生やさないよう、何か工夫をしているのでしょうか。

   

「いや、カビはねぇ、生えるんですよ」

   

カビを生やさないようにするのではなく、カビが生えた苗箱を、1日外に出して日光に当てる。なんと、それでカビはきれいに消えてしまうそうです。

 

それだけのことで、農薬の使用が1つ、減らせる。

 

シンプルなこの発見が、長尾さんの言う「楽しい試行錯誤」のひとつを象徴しているように感じました。

     

土づくりに合わせて品種を変える—「あきさかり」へ

自然栽培では、品種選びも重要な要素です。

長尾さん無農薬栽培米「あきあさかり」|綾川町畑田

 

レンゲ(=ヘアリーベッチ)が十分に窒素固定を終えるのを待つと、田植えの時期が5月〜6月と遅くなります。以前はコシヒカリを育てていましたが、ヘアリーベッチの窒素固定を待っていると、コシヒカリの田植え時期に間に合わなくなりました。

 

そこで現在は、田植え時期の遅い「あきさかり」という品種に切り替えています。自然のサイクルに合わせて品種を選ぶ。当たり前のようで、そこにたどり着くまでには長い試行錯誤があったはずです。

  

1人でも多くの人に知って、食べてもらいたい

 

長尾さんの無農薬栽培は、最初から完成されたものではありません。

 

冬水田んぼから、ヘアリーベッチへ。ずっと深水から、中干しの取り入れへ。コシヒカリから、あきさかりへ。それぞれの変化の裏には、問題と向き合い、考え、試してみるという繰り返しがあります。

 

自然は毎年、同じではありません。だからこそ、栽培も毎年アップデートされていく。

 

長尾さん無農薬栽培米「あきあさかり」|綾川町畑田

その現在進行形の試行錯誤を「楽しい」と語る長尾さんの表情が、畑田に広がる田んぼの風景と重なって見えます。

  

綾川町のまちの中に、こんな米作りに取り組んでいる人がいます。
その取組を、多くの人に知って欲しいと思っている、まちのお米屋さんがいます。

  

そして、そんな自然栽培米の話を聞きたい、知りたい、買いたい!
そういう方々の顔を思い浮かべながら、この記事を書いています。

 

 
そしてこの無農薬米栽培のお話は、とある町内でご商売をされている別の方の耳に届くことになります。

長尾さん無農薬栽培米「あきあさかり」|綾川町畑田

そこから、また次の展開へと進むのですが、それはまた、別の機会に・・・

 

 


 

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