この春、高校生・大学生となる息子2人が、初めてのバイトを経験しました(高校には申請・許可済み)。期間はおよそ、約1週間。
そのバイト先は、地元の本屋さん。新年度に向けて、様々な学校に教科書等を配送する仕事の補助というちょっとレアなバイトです。
ちょうど年頃(体が動く)の子どもがいる我が家に、地元の方のご紹介で、白羽の矢が立ったという訳で、求人情報がWEB等に出ていた訳ではありません。
さて、この本屋さんのみならず、私が住む綾川町は陶地区の商店の多くは、子ども達が通う小学校前の県道沿いにあります。今やイオン等が立地する国道32号線がメイン道路となりましたが、この陶地区はそもそも、この片側1車線の県道がメインストリート。
昔を知る地元の人達は、往時を振り返ってこの通りを「陶銀座」と呼んでいました。
そう、日本全国いたる所にあるであろう、東京は銀座の華やかさに倣って、おらが町を呼んだ○○銀座が、なんとこの綾川町は陶という、とても小さなエリアにも存在していたんですね。
銀座は遠くなりにけり
この一連の流れの中で、ふと思い出したお店があります。
まだ長男が小学生の頃、この通りには、確か煉瓦積みの釜で、まさに昔ながらの製法で豆腐を作られていたお店がありました。
今思い返せば、一言お願いしてその煉瓦釜での豆腐作りを撮らせてもらえばよかった、と少し後悔しています。
確か、我が家は週に1回お豆腐を買いに行っていました。他にも、昔から通っている風な地元の常連さんらしき人と、よくお店前で順番待ちしていたのを、思い出します。時々合わせて買う油揚げが絶品でした。
我が家がこの陶に引っ越してきたのが、もう16年前。
コロナ禍を経ても、この「陶銀座」通りにあるお店の顔ぶれは、そんなに変わっていない印象があります。
が、それも私の主観。正確なものでもありませんし、専ら車で通るのが常なので、つぶさに変化の状態を見れているわけでもありません。
さて、人口2万人程度の綾川町にも、このお豆腐屋さんのような商店や、マルナカのようなスーパー、工場や病院など、様々な「事業所」があるはずです。
私達はよく「人口減少」のことは話題に出しますが、この綾川町における「事業所」の数は、どのような変遷をたどっているのでしょうか。
いや、そもそも町内にお店はどれくらいあるんでしょう。
ちょっと想像がつかない、というか、「自分が住む町内のお店の数」なんて、気にする人はそうそういないでしょう(うどん屋の数なら、分かる人多数、かも・・・)。
ということで、先日、香川の統計資料をあさる(調べる)機会があったので、「おらが町」の数字も調べてみました。
綾川町 961軒
その数、961軒。細かい数で出しましたが、これは、正確には「事業所」の数。
令和3(2021)年の経済センサス‐活動調査によるものなので、5年前の数字にはなります。お店だけでなく、工場も事務所も支所も、すべて含んだ数。
では、町内で働く人は?
11,188人。
綾川町の人口が22,000人として、およそ半分にあたる人が、この町で働いていることになります。
といっても、町外から通ってきている方も含まれますので、町民の半分が、という訳ではないのですが、毎朝、毎日、これだけの人が綾川町内に出勤し、働いているわけですね。
この11,188人という数。多いのか、少ないのか・・・
綾川町に多いのはやっぱり「あの」業種
では、961軒の中身をちょっと見てみましょうか。
業種ごとに、トップ7。
- 卸売業、小売業 265軒
- 建設業 108軒
- 製造業 93軒
- 生活関連サービス業、娯楽業 88軒
- サービス業(他に分類されないもの) 76軒
- 宿泊業、飲食サービス業 74軒
- 医療、福祉 70軒
一番多いのは、「卸売業、小売業」ですね。全体の27.6%、約4分の1。およそ4軒に1軒がこの分類に入ることになります。
そう、私達が普段「お店」と呼んでいる、私達が買い物やらなんやらをするのは、だいたいこの分類ですね。
次いで建設業、製造業。
私達が買い物をする場所としての町と、ものをつくる場所としての町。
その両方が、綾川町には揃っているんですね。
減少する人口の中、増えていた業種は・・・
さて、今回の調査は令和3(2021)年の調査結果を基にしておりますが、さらにさかのぼること12年前、平成21(2009)年と比較すると、どうでしょうか。
平成21年当時の綾川町内の事業所数は、1,077軒だったそうです。12年間で、マイナス116軒。約10%の減、ということになります。
この減少の内訳を、業種別で見てみると、次の様になります。
| 業種 | 2009年 | 2021年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 卸売業、小売業 | 335軒 | 265軒 | −70 |
| 建設業 | 126軒 | 108軒 | −18 |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 91軒 | 74軒 | −17 |
| 製造業 | 109軒 | 93軒 | −16 |
| 不動産業、物品賃貸業 | 30軒 | 20軒 | −10 |
116減のうち、70軒が「卸売業、小売業」、つまり「お店」でした。
では、「増えている」業種はあるのか?
| 業種 | 2009年 | 2021年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 農林漁業 | 20軒 | 35軒 | +15 |
| 医療、福祉 | 56軒 | 70軒 | +14 |
ありました。しかもトップは医療・福祉を抑えて農林漁業がトップで15軒。医療・福祉はなんとなく想像の範囲内ではあるのですが、農林漁業がプラスでしかもトップとは。
この経済センサス、どうやら農林漁業のうち個人でやっておられる農家さん等は、調査数の対象から外しているそうです。
なので、この35軒というのは町の農家さんの数ではなく、法人や団体として営まれている分だけの数字なのです。
近年の農地集積にともない、従来の個人経営から中核法人への集約が進んだ結果、ということなのでしょうか。
961と「-1」のリアル
961軒に1,077軒、そして11,188人。
116軒のマイナスに、29軒のプラス。
この数字を見て、皆さんはどう感じられたでしょうか?
残念ながら、この統計結果だけでは、その理由までははっきり分かりません。
しかし、「数字」として見たことで、あらためて思うところや、発見があったと感じる方も、いらっしゃるでしょう。
また、地元民からすると同じ「1軒の減少」を示しているとしても、「小売業が1軒の減少」という表現より、「マルナカが地域から撤退」という事実の方が、相当インパクトがありますよね。(マルナカさん、すいません)
「-1」は陶銀座のお豆腐屋さん
統計の1軒と、体感の1軒。
思えば、「-116」のうちの1軒は、冒頭に触れた、煉瓦積みの釜で昔ながらの豆腐作りを続けられていた、私が「豆腐作りの様子を撮らせてもらえばよかった」と思った、あのお店かも知れません。
いや、もしかすると、あのお豆腐屋さんは、統計上、事業所として登録されていなかったかも。
それでも、私にとっては確かに、そして大きな「-1」軒です。
その大きな「-1」を体感してしまった後に、いつも通り車を走らせ通る道は、どの様に見えるでしょうか。
そして、「撮らせてもらえばよかった」、そんなことを二度と、思わなくてすむように——
出典:総務省・経済産業省「令和3年経済センサス‐活動調査」(e-Stat 統計表 0003449718)/
総務省「平成21年経済センサス‐基礎調査」(e-Stat 統計表 0003353941)
なお本記事の事業所数は「全事業所数」ベースです。香川県公表の確報値(綾川町920事業所)は「必要な事項の 数値が得られた事業所」を対象とした集計のため、数値が異なります。








