いにしによる ー断片たちの囁きに、耳をー【小さな声の囁く方へ】

とある一家の歴史が公共の歴史へ。
企画展「いにしによる」

≪旧藤川邸模型≫ 小野環 2022年
藤川邸から出た廃材で作られている。
≪旧藤川邸模型≫ 小野環 2022年
藤川邸から出た廃材で作られている。

小野環氏服部志帆氏横谷菜歩氏による
瀬戸内海歴史民俗資料館 企画展
いにしによる」(共催:一般社団法人トピカ)

塩江の内場湖湖畔にたつ古民家、藤川邸。
そこから収集される品々、その数、840点以上
 
その1つ1つを序列をつけることなく(つまり恣意的に行うことなく)
全てを平等にアーカイヴ
するという

アーカイヴされた生活用品


とてつもなく地道な作業をベースとして
藤川家の歴史が丁寧に紐解かれることによって
垣間見えてくる塩江の歴史。

会場は旧藤川邸の生活財を中心に配置されている
背面側は黒く塗られている

一般的な空き家再生では捨てられてしまう」ような記憶の数々が
新たに公共の歴史へと「継承」されていき

 
アーティスト達それぞれの視座によって
読み解かれ、新たな表現作品として
生まれ変わっています。

≪再接続 途切れた外部記憶≫ 小野環 2022年
≪かまどの神様≫
作:服部志帆 語り:村山淳
インスタレーション:横谷奈歩
≪タヌキ会議≫
2022年 サウンドインスタレーション
脚本:服部志帆 監督:横谷奈歩 助監督:神高伸江
地元の方達が声で出演されている

プラットフォームの大きな声と囁きと -いにしによってみて思ったこと-

「いにしによる」展示全景

今、私達の日常は、スマートホンから配信される

アルゴリズムによって「恣意的に」操作され、
最適化された(とされる)情報に日々侵食されています。

≪旧藤川邸 略史≫

つまり、プラットフォームからの声が
どんどん大きくなって来ている現代においては

そこに無自覚に生きている限り

(ギャラリートークでの小野氏の言葉を借りれば)
「忘れていることを忘れさせる」ような世界に
自らを押し込める結果になってしまう。
 

≪アーカイヴ 飯盒≫
戦時中に日本軍から支給されたものだという。

本企画展のサブタイトルにもある
「断片たちの囁き」。

その声はきっと、とても小さいものでしょう。  

 
プラットフォームとアルゴリズムの
外側にある小さな囁き。

その声に耳を傾け続ける日常の先に 
過疎と衰退に悩む私達の
1つの答えがあると信じたいですね。

≪借耕牛ロード≫
横谷奈歩 2022年 ミクストメディア

ギャラリー

企画展「いにしによる」概要

  • 会期:令和4年10月1日(土曜日)
            ~12月18日(日曜日)
  • 時間:午前9時
       ~午後5時(入館は午後4時30分まで)
  • 休館日:毎週月曜日
       (月曜が休日の場合はその翌日)

塩江の藤川邸も同時公開

瀬戸内歴史民俗資料館HPより

本展示会の起点となっている「藤川邸」は
現在ゲストハウスとして改修工事中。

その藤川邸が、本展示に合わせて
同時公開されているそうです。

完全予約制なので
見学を希望される方は、一般社団法人トピカまで
ご連絡ください。

藤川邸「いにしによる」公開(予約制)

  • 会期: 2022年10月1日~12月18日
  • メール: info@topica.or.jp
  • TEL: 080-7736-1257

トピカについては、こちらの記事もどうぞ。